研究課題
基盤研究(C)
[目的]加齢や性ホルモンの低下に伴って、骨組織が運動刺激に対する反応性が低くなる可能性が指摘されている。男性ではアンドロゲンが骨形成において重要な役割を担っているが、骨吸収においてはエストロゲンがより重要な役割を果たしているとの報告がある。我々は大豆イソフラボンが"植物性の選択的エストロゲン受容体修飾因子"である可能性を示唆してきた。本研究では、大豆イソフラボン摂取と運動が男性の骨及びミネラル代謝に及ぼす影響を評価するため、パイロットスタデイを実施した。[方法]55歳-75歳の男性27名について試験を実施した。試験は倫理規定に基づき、十分なインフォームドコンセントを行なった上で開始した。[試験群]上記被験者を無作為にイソフラポン摂取群(CI群)、イソフラボン摂取+運動群(WI群)に分けた。[イソフラボンの摂取]大豆イソフラボン配糖体カプセル(アグリコン換算47mg/日)を毎日摂取した。対照群はブラセボカプセルを摂取した。[運動の実施] 運動はウォーキング種目を選び、週3回、毎回45分とした。[測定項目]以下の項目について0,6,12ヶ月の測定を行なった。DXA法により身体組成を計測した。 血中骨形成マーカー、尿中骨吸収マーカー、血中および尿中イソフラボン、ミネラル、血清脂質、血中テストステロン、LH、FSH、エストラジオール、甲状腺ホルモンの測定を行なった。[結果]被験者の平均年齢は61歳、平均体重66.6kg、平均身長166.9cm、平均体脂肪率22.1%であった。1年の介入後、WI群の全身及び体幹部の脂肪量は低下傾向を示した。大腿骨近位部のワーズ三角部の骨密度は両群で増加し、WI群の増加率はCI群に比べて有意に高値を示した。血中エストロゲン濃度、テストステロン及びその他のホルモン濃度に変化は認められなかった。血中及び尿中マグネシウム、銅、亜鉛濃度は全ての群において1年間で変化は認められなかった。以上の結果より、運動とイソフラボンの併用摂取は、閉経後女性の骨量減少を抑えるばかりでなく、中高年男性において大腿骨の骨密度を増加させる可能性が示唆された。
すべて 2006
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