研究課題/領域番号 |
17500495
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研究機関 | 独立行政法人産業技術総合研究所 |
研究代表者 |
吉田 康一 独立行政法人産業技術総合研究所, ヒューマンストレスシグナル研究センター, 研究チーム長 (90358333)
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研究分担者 |
絹見 朋也 独立行政法人産業技術総合研究所, ヒューマンストレスシグナル研究センター, 研究員 (90293125)
二木 鋭雄 独立行政法人産業技術総合研究所, ヒューマンストレスシグナル研究センター, センター長 (20011033)
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キーワード | タバコ / 酸化ストレス / 活性窒素種 / 酸化ストレスマーカー / ビタミンE / ヒドロキシリノール酸 / イソプロスタン / 実験動物 |
研究概要 |
本研究では喫煙を生体に対する酸化障害ととらえ、分子から細胞、動物レベルにわたりその影響を検討する。最終的には人間工学的手法により精神的ストレスと喫煙との関係解明を目指すための科学的基盤を確立することを目標として研究を行った。以下概要を報告する。 (1)基礎実験によるタバコ煙反応性の解明とマーカーの同定 タバコ煙のオキシダントとしての特性を主に脂質の過酸化により評価した。生体脂質のモデル化合物として、ミセル、リポソームを作成し、タバコ煙によって生成する酸化剤、ペルオキシナイトライトについて脂質との反応、抗酸化物質との反応など詳細に化学反応を追跡した。抗酸化物質の中でビタミンEとペルオキシナイトライトおよび二酸化窒素との反応を行い、特にα-トコフェロールおよびγ-トコフェロールの酸化生成物であるトコフェリルキノン、トコレッド、ニトロ化物の同定を達成した。ヒト血液を採取し、血漿を用いてペルオキシナイトライトによる酸化反応を行い、α-トコフェロールおよびγ-トコフェロールによる酸化抑制効果を明らかにするとともにトコフェリルキノン、トコレッド、ニトロ化物の生成を追跡した。これらの基礎実験結果から、タバコの酸化障害によって、生体中のトコフェリルキノン、トコレッド、ニトロ化物がマーカーとして有用であることがわかった。 (2)タバコ煙による動物への障害 すでに構築した酸化ストレスマーカーである総合的ヒドロキシリノール酸(t HODE)およびイソプロスタン分析法を用いて生体中での各種ストレス毒性を追跡した。タバコ障害がこれらマーカーによって測定できるかの予備実験である。その結果、四塩化炭素による肝臓障害を血漿および肝臓中から本マーカーによって正確に評価できることがわかった。一方で、独自のタバコ煙付加実験装置を作製し、実験動物を用いた予備実験を展開中である。今後、分子生物学的手法も用い、タバコ煙ストレス付与による生体応答を上記のマーカーによって解明する。
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