本研究では、消費者団体の運営と活動、今後の課題について、欧米の主要な消費者団体との比較研究を取り入れながら、調査・考察を進め、今後の発展について実証研究と理論構築の両方の側面から整理していくことを主たる研究内容としている。具体的には、研究課題名(「消費者団体の財政・人的基盤と消費者情報に関する日欧米比較研究」)にもあるとおり、「財政基盤」、「人的基盤」、「情報」の3点に重点をおいてまとめる予定である。 本年度は、欧州のヒアリング調査とこれまで実施した調査の整理を中心に研究を進めた。 欧州調査は、ベルギー、イギリス、フランスの状況を調査した.その結果、現在一般的に認識されているとおり、意識面を含む人的基盤や財政規模におけるほとんどすべての面で、欧州諸国の団体の方が活動基盤の整備が進んでいる状態であるが、事業者との連携については、日本が欧州とは違った意識を持っていることがわかった。日本には、事業者との連携を合理的に進めていきたいと考える団体も存在するが、欧州では、事業者から活動資金を受け取ると消費者団体の定義から外れるという認識が強く、非常にナーバスな問題として捉えられている。 これに対し、アメリカでは両方の立場をとる団体が存在するので、次年度の課題の一つとして研究を進めることにする。アメリカに関する資料については、本年度中に重要なものをいくつか収集したので、次年度においてもそれを整理しながら、継続的に資料収集を行う予定である。
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