研究課題/領域番号 |
17500501
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研究機関 | 横浜国立大学 |
研究代表者 |
西村 隆男 横浜国立大学, 教育人間科学部, 教授 (40242375)
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研究分担者 |
松葉口 玲子 岩手大学, 教育学部, 准教授 (30304562)
鎌田 浩子 横浜国立大学, 教育学部, 准教授 (60301959)
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キーワード | 多重債務問題 / 家計管理 / 生活支援システム / 生活設計 |
研究概要 |
今年度は本研究の最終年度として、研究課題のとりまとめを中心に行った。国内調査に関しては、多重債務者の家計状況についてのアンケートの実施および集計・分析を中心におこなった。とくに、相談時の支援の方法としての家計簿記帳をすすめ、その前後による意識および行動の変化を尋ねた。 その結果、家計簿記帳を始める前にはいつもお金がないと感じている人も、記帳の習慣をつけることで、お金が足りないと感じることがあまりないと答えるようになった。また、光熱費や返済金の遅れにも改善が見られた。これらの結果は、債務者相談における生活再建支援に家計簿記帳が有効でることを示すものと考えられる。 また、債務者の生活支援のプロフェッショナルの養成がなされていない日本に比べて、オーストラリアのみならず米国でも資格化の動きは目覚ましいことが確認された。米国ではファイナンシャルエヂュケーター、ファイナンシャルカウンセラー、ファイナンシャルプランナーなどの名称で、それぞれの活躍の分野を独自に持っている。 米国では連邦破産法改正によって、債務者への事前カウンセリングと免責前の教育が義務付けされたが、ファイナンシャルカウンセラーは非営利機関でのカウンセリングや債務者教育の担い手として、専門的職能を発揮している。法律に裏付けられたものとして、債務者へのカウンセリング活動が注目されており、そのなかでも予算管理、金銭管理、生活設計などの基本的な家計管理支援型のカウジセリングが重視されていることも判明した。 翻って,わが国の債務者に向けた生活再建支援の方法として、単に法的処理に頼らず、専門職としての産業カウンセラー、臨床心埋士、ファイナンシャルブランナー、消費生活相談員等がこれまでに行ってきた相談対応のノウハウを有効に結びつけた新たな生活支援のシステムと人的資源の開発が課題であると結論づけた。
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