本研究は環境問題に配慮した衣生活様式を支援、推進するための環境学習プログラムの開発を目標とする。本年度は環境学習の具体的題材として「繊維製品のマテリアルリサイクル」「吸水性衛生材料の消費」「紫外線遮蔽繊維製品の有効利用と健康な衣生活」を取り上げ、以下の成果が得られた。 1.繊維製品のマテリアルリサイクル:繊維製品のリサイクルに着目し、消費者(大学生)を対象として衣服の廃棄とリサイクルに関する意識調査を行った。着なくなった衣服はほとんど保管されており、リサイクルの必要性は感じているが実践方法を知らないことがわかった。リサイクルに関する環境教育や啓蒙活動の必要性が示唆された。そこで、小学生を対象に繊維製品のリサイクルに関する教材開発と授業実践を行なった。附属小学校では反毛わたによるフェルト小物の製作、宇治市立大開小学校ではパワーポイントを用いたリサイクルに関する授業を行い、それぞれの長所、短所、実践上の課題を明確にして、今後の教材開発に関する具体的示唆を得た。 2.吸水性衛生材料の消費:使い捨て不織布衛生用品の性能に関する資料を得るため、婦人用衛生用品の性能評価を行なった。肌触りやべたつき感には表面特性と含水時の熱移動特性が関与することを定量的に捉え、繰り返し使用できる布製パッドとの併用に関する基礎データが得られた。 3.紫外線遮蔽繊維製品の有効利用と健康な衣生活:昨年度、中学生を対象とした紫外線に関する環境学習教材を提案し、附属中学二年生に布の紫外線測定実験を導入した授業実践を行なった。本年度は、さらに広範囲の学習対象に対して、環境学習の実践を試みた。高大連携講座に参加した高等学校二年生と、淡海生涯学習カレッジに参加した一般市民を対象に、簡易型紫外線強度計を用いた中学生と同様の学習プログラムによる授業実践を行ない、その汎用性を確認した。
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