研究分担者 |
久保 加津代 大分大学, 教育福祉科学部, 教授 (50214987)
福原 美江 宮崎大学, 教育文化学部, 教授 (50094082)
伊波 富久美 宮崎大学, 教育文化学部, 准教授 (90193630)
倉元 綾子 鹿児島県立短期大学, 生活科学科, 准教授 (20225254)
浅井 玲子 琉球大学, 教育学部, 准教授 (10325821)
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研究概要 |
1994〜2004年に発表され,かつ地域がとりあげられている九州・沖縄の家庭科の授業実践事例,368事例を対象に,地域の生活課題・生活文化の教材化の観点で量的,質的な分析を試みた.その結果,以下のことが明らかとなった. 1.学習方法として人やものなどの資源を活用している点では地域とのかかわりが見いだせるものの,それらを媒体にして地域の生活文化や生活課題,地域再生の動きなどを学習内容にしていない事例が約4割も見出せた.さらに地域の生活現実を批判的にとらえ,そこから課題を見出そうとしたり,地域を変えていこうという意識の育成にまで踏み込んだ事例はとても少なかった。この結果は,家庭科教育で生活文化を継承し新たな生活文化を創造していく子ども,自らの生活を主体的に営むと同時に,その生活行動によって社会の状況もよりよくしていく子どもの育成をめざすならば,重要な課題が提示されているといえる. 2.自身の生活を見つめ,自らの課題に気づく視点が見出せた事例も1割弱と非常に少なかった.地域の生活課題を自身の生活とのかかわりでとらえさせることなしに授業を展開するのでなく,その生活課題に関する生活実態を学習者に意識化させつ,つまりその課題に対応できていない状況の背景(ホンネ)を具体的にとらえさせた上で,地域の生活課題を解決する方策を学ぶ授業つくりの必要性が提示されたといえよう. 3.授業の目標に地域の生活文化や生活課題を学習させることが明記されているにもかかわらず,授業の展開過程でどのような生活文化や生活課題をどう扱い,それによって子どもたちが何を学習したか読み取れない事例がかなり見受けられた.このことは,目標と内容に齷齪のない授業案や授業記録を書くことを提案する重要性と必要性を提示しているといえる. 4.授業実践事例の収集は困難を極めたことから,授業実践事例の収集・保管を組織的に取り組む必要性が提示できた.
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