本研究では、住民による地域づくりについて、昨年に引き続いて、地域づくりの先行事例から学ぶことを重視し、調査研究を行った。調査対象地域は、神戸市真野地区・京都市春日学区、岐阜県の郡上市・美濃市・大垣市など、名古屋市内の小地域、長野県木曽町、東京都内の小地域、岩手県藤沢町、秋田県鷹巣町などである。調査の結果、わかったことは、次のとおりである。 ■神戸市真野地区・京都市春日学区などの総合的先進地域では、従来に引き続いて、住民による地域づくりが総合的に発展しつつある。A県T町では首長の交替により、従来、積み上げてきた住民による地域づくりが大きく変化しつつある。I県F町では、障害者でも地域で暮らしていくことができるようにという取り組みなどが、誰もが暮らしやすい地域づくりの一環として進められているが、首長の交替により地域づくりが少し変化しつつあり、今後の動向が注目される。 ■N県K市では、首長がリーダーシップを発揮し役場職員と一体となって、住民による地域づくりをハードとソフトの両面で支援しており、K学(地域に係わる地域学)を地域づくりに活かす取り組みが進められている。その中で、住民と行政関係者の相互連携が強化され、両者の取組がレベルアップし、地域づくりが活性化している。さらに、地域の生活環境(住環境を含む)の改蓉、住民同士の件の強化(コミュニティづくり)、なども進みつつある。 ■G県G市など、N市A地域など、東京都内のT地区などの部分的先進地域では、個別的課題に係わる取り組みではあるが、地域の伝統を含む地域特性を活かした地域づくりなどが充実しつつある。
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