研究課題
基盤研究(C)
本研究の目的は、家族経営協定の締結事例より、家族関係の世代変化を明らかにすることである。家族経営協定は、農業経営と家族生活とが不可分の関係にある家族農業経営において、家族員それぞれの役割や地位を尊重し、家族員相互のルールを明確化することによって経営の近代化を図るべく、1995年より全国的に普及推進されている。本研究では、生活面でも取り決めがある家族経営協定締結農家の事例にあたり、農業経営における役割、家族生活における役割が、性・年齢に応じてどのように分担されているか実態を調べ、その世代変化を分析した。家族経営協定締結事例の選定にあたっては、家族経営協定の普及推進担当官庁である農林水産省経営局女性・就農課を通じて、全国の地方農政局および北海道庁を訪問し、管内の普及の実態に関して担当者のヒアリングを実施し、統計情報を収集した。次いで、家族経営協定が普及している都道府県の地域農業改良普及センターを通じて、生活協定が含まれる協定農家を抽出し、北海道紋別市、宮城県石巻市・登米市、新潟県魚沼市、愛知県安城市、京都府南山城村、岡山県岡山市、徳島県鳴門市、福岡県筑紫市にて訪問面接調査を行った。京都府南山城村では、合わせて、製茶の集団経営を行う協定締結農家に対し、郵送留置調査を実施した。その結果、家族経営協定が初期に普及した地域では10年以上が経過し、次世代への継承の時期にさしかかっており、家族経営協定が若い世代にとっても有効なものでなければならないことが分かった。また、家族経営協定の導入によって、中高年女性の経営参画には実績がみられたが、若年世代では、返って性別分業の固定化を促している面もみられた。直系家族世帯にあっては、同一世帯であっても、世代毎に生活課題が異なる点が明らかにされた。
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すべて 雑誌論文 (8件)
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