本年度の研究では、家族経営協定と経営改善計画(認定農業者申請における経営改善の計画書)の関係に注目し、地域と家族の生活経営(ライフマネジメント)が、資産形成に及ぼす影響を探った。 ■ソーシャル・キャピタルについて 熊本・長野・茨城の以下の3点の特色を文献研究、インタビュー調査、アンケート調査で整理した。 (1)戦後の地域の生活改善運動を土台にした生活研究グループの活動 (2)家族経営協定の10年間の普及活動 (3)地産地消やグリーンツーリズムなど消費者と結びっいた起業活動インタビュー調査では、(1)の活動によって育てられた女性リダーが中心になって(2)・(3)の活動を展開していることが示された。その流れによって地域のソーシャル・キャピタルの類型化の可能性を探っている。 ■農地取得と家族経営協定・経営改善計画 農地取得を含めた女性農業者の資産形成は、内閣府の男女共同参画社会基本計画(第2次)に掲げられている。女性農業者の農地の取得方法は、(1)親から単独で一括相続、(2)購入(3)親から他の相続人と分割相続(4)配偶者からの生前贈与である。それぞれの取得方法が、家族経営協定や経営改善計画といかに結びついているのか、検討中である。 ■資金の借り入れや金融資産の形成と地域の金融 規制改革によって金融環境も大きく変動した。金融制度、資金融資に関して、女性農業者が置かれた立場と課題を聞き取り、マイクロファイナンス・地域金融に関しての教育・情報提供の課題を整理している。
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