研究課題
基盤研究(C)
最初に、震源地に最も近い川口町を中心に調査を行った。最大震度7を記録し、住宅被害は全壊43.1%、大規模半壊10.3%、半壊24.4%で、約80%が大災害を被った。この災害の特徴としては、(1)冬期間の豪雪、(2)建物のみならず地盤そのものが大きく破壊され影響が長期化、(3)車の中での生活でエコノミークラス症候群の発症や長期の避難所生活のためストレス過多による心的障害が多発したことがあげられる。1年を経過しても仮設住宅での生活を余儀なくされ、公営住宅の建設の遅れや高齢者住宅の自力再建が困難であるケースも多く、集落そのものの存続が危ぶまれている。また、小千谷市の調査を行ったが、個々の被害の程度の差が大きく、多種多様のケースが存在することが明らかになった。地場産業である繊維産業ではすぐに生産を開始した工場がある一方で、担い手である高齢者が不在になり継続が困難なところもみられた。南魚沼市の旧堀之内では、工場自体が大きく被災した食品会社を調査することができた。自らの体験を生かし、非常食を研究開発していることから、食に関する危機管理について情報交換した。研究開発担当者の講演と災害を経験していない学生へのアンケート結果から、非常食・防災と関連づけられた学習や体験が少ないことが明らかとなり、今後の危機管理の一指針となることがわかった。さらに長岡市の仮設住宅調査では、3月末でも残雪が見られ、仮設住宅の積雪限界が2mであることから、冬期間の深刻さが浮かび上がった。1年5ヶ月を経過し、地域によっては空きが目立つ仮設住宅もあるが、復旧の遅れから一部の地域では、仮設住宅での生活がさらに長引く恐れがあることがわかった。