酵素的消臭法が生体内においても実際に効果のある消臭方法であることを証明するために、ニンニクを食べたときに生成し潜在的な不快臭となる微量のアリルメチルスルフィドやアリルメルカプタンの増減を精密に定量した。先ず、呼気中の微量の悪臭成分を分析するために、ガスを炎光光度検出器付ガスクロマトグラフ(FPD-GC)へ導入する方法を検討した結果、濃縮せずにガスサンプラーを用いてそのままの呼気を導入する方が良い結果が得られることが分かった。次に、実際には被験者3人(22歳の女、23歳の男女)にニンニクを摂取させ、さらに、各種食品(リンゴ、プルーン、チコリ、マッシュルーム、茹でたフキノトウ)を食べさせた後、6時間経時的に生体内サンプルである呼気をニオイ袋に捕集した。FPD-GCを用い、不快臭を分析した。同時に、尿も採取しヘッドスペースガスを分析した。その結果、被験者によって効果は異なった。2人では、プルーンの消臭効果が最も大きく、次いでリンゴ、チコリの順で、マッシュルームと茹でたフキノトウではあまり効果はなかった。もうひとりでは、全く逆の結果になり、男女の生理的な違いや個人差がかなり大きいことも分かった。さらに、調理・加工品と消臭の関係を明らかにするために、茹で野菜の消臭効果等も一部検討した。すなわち、野菜を茹でる前後でPP量やPPO活性量の変化量を定量し、試験管内での消臭効果(メルカプタン補足能)を調べた結果、茹で時間が短い場合には、PPは多量に残存しており、また、PPO活性量もわずかに存在して酵素的消臭効果も発揮できることが明らかになった。今後、調理加工と消臭の関係を詳しく調べるとともに、PPを多く含む飲料による生体内での実際の効果を調べ、効果的な消臭方法を提示する予定である。
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