通常、茄でて食べる野菜中のPP量、PPO活性量、抗酸化活性、メルカプタン補足能及び生体内消臭作用を調べた。また、カテキン茶(緑茶、紅茶、ウーロン茶)及びクロロゲン酸茶(苦丁茶、マテ茶)による生体内消臭作用も調べた。その結果、茄で野菜では、キク科のゴボウ、シュンギク、ヨモギ、フキノトウにおいて茄でた後もPP含量があまり減少せず、クロロゲン酸類が多量に含まれていた。従って、抗酸化能が高かった。2分間茄でた場合、フキノトウでは、約10%のPPO活性が残存し比較的強いメルカプタン補足能を示した。生体内消臭作用では、ゴボウ、ヨモギ、フキノトウ、ウド、ナス、ホウレンソウでアリルメルカプタンに対して比較的消去作用が強く、アリルメチルスルフィドに対しては、ゴボウ、ウド及びホウレンソウで消去活性が高かった。尿中のアリルメチルスルフィド量は、茄でたウドの場合に僅かに他よりも軽減された。PPを多く含む野菜では、短時間茄でた場合、抗酸化作用及び消臭作用の両方に効果があり、機能的な食品として利用範囲が広がることが分かった。飲料の生体内消臭効果は、アスコルビン酸を多く含む緑茶では効果がなく、アリルメルカプタンに対しては紅茶とウーロン茶が、アリルメチルスルフイドに対してはウーロン茶とマテ茶の作用が強いことが明らかになった。尿中の悪臭軽減効果では、カテキン茶よりも苦丁茶やマテ茶のクロロゲン酸茶の方が高かった。茄で野菜や飲料では、生の果物や野菜に比べて悪臭軽減効果は弱いという結果になったが、摂取量や摂取頻度を増やすことによりさらに悪臭軽減効果が期待される。2年間の研究結果から、PPやPPOを多量に含む生の果物や野菜だけでなく、調理加工したこれらの食品を利用した場合にも、実際に口臭や体臭に対して消去或は軽減効果があり、酵素的消臭法は、安全、簡便で誰でも利用できる消臭方法であることが明確になった。
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