研究概要 |
本研究は食行動・食意識の家庭内伝承がいまどのように行われているかをみるとともに,それが食生活および食生活観の形成に与える影響をみることを目的とする.本年度は伝承の現状を知ることを目的に,食行動の伝承に関するアンケート調査および食事調製に関わる技術の観察調査をおこなった. 食行動の伝承に関するアンケート調査は,子どもの頃の生活が現在の生活にどのように影響しているかを知るために,現在の食行動および子どもの頃の食行動について50項目の設問を設定した.被験者は若年層を中心としたが,世代に渡る伝承を検討するために,一部は親子の双方に調査を依頼した.親子調査の結果は伝える方の意識と伝えられる方の意識との比較に用いる.現在の回収総数は1300枚余で,その中に約400組の親子が含まれている.現在集計および解析を進めているところである. 食事調製に関わる技術についての調査は,包丁の操作技術を調べる目的で菊花かぶ,きゅうりの小口切り,かぶの半月切りを,また総合的な料理作製技術を調べるために野菜炒めを選び,大学1年生約25名を被験者として,複数の観察者がチェックシートを用いて操作の巧緻を観察し,所要時間の測定,調製物の評価を行った.同時に調理技術についての自己評価を調査紙に記入させた.今後,各被験者の食に関わる技術の習得がどのように行なわれてきたかをインタビュー調査で明らかにし,技能水準との関わりを検討し,技術の習得はどの段階でどのように形成されるか,また技術の向上は何によって促進されるのかを明らかにしていく予定である.
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