研究概要 |
本研究は食行動、食意識の家庭内伝承が現在どのように行われているかを調査するとともに,それが食生活および食生活観の形成に与える影響を検討することを目的としている.これまでた食行動の伝承に関するアンケートを作成し,配布・回収を行った.またその解析を進めると同時に,食事調製に関わる技術の調査や,調理の伝承についての調査を行ってきた. 今年度は家族間における味覚嗜好の伝承を調査するために,69組の家族に,4種の味付けのひじき煮を試食してもらい,家族員ごとに好きな味付けのひじき煮を選択してもらった.その結果,ランダムに抽出した2名の一致率に比べ,親子間の一致率が高く,味覚嗜好の伝承が行われている可能性が示唆された.この味覚嗜好の一致は母と子,父と子の間,それぞれで見られたが,より母と子の間での一致が高かった.また,同時行ったアシケート結果から,コンビニエンスストアの弁当やスーパーマーケットの総菜の味がおいしいと感じる親子で好みのひじき煮の一致率が低いことが分かり,家庭外の食の利用牟嗜好や味の伝承に影響を与えていることが示唆された. 食の伝承に関するアンケートは442組の親子を含む約1500枚を回収した.その回答を親子間の比較や,子どもの頃の調理担当者の行動と現在の自分の行動との比較等から検討した.その結果,子どもの頃の食生活や調理担当者の行動が成長してからの生活に大きな影響を与えていることが示唆された.今後はこのアンケートの結果をさらに詳細に検討し,学会等に報告する予定である.
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