研究課題
近年、高血圧と酸化ストレスとの関連が注目されている。たとえば、血管弛緩を促す酵素(一酸化窒素(NO)合成酵素(NOS)など)や活性酸素を介した機能異常等が血圧上昇やこれにつながる動脈硬化に重要であることがわかってきた。小豆には抗酸化能を有するポリフェノールが含まれているが、血圧に及ぼす影響はほとんど知られていない。そこで、私たちは小豆抽出物(ABE)の血圧上昇に及ぼす影響とそのメカニズムについて検討した。平成18年度は、高血圧状態(200mmHg以上)になった自然発症高血圧ラット(SHR)にABEを投与し、 ABEが降圧作用を有するかを検討した。SHRに0、0.22及び0.90%. ABE含有飼料を、また正常血圧のWistar Kyoto Rat(WKY)に0及び0.9%飼料を8週間与えた。投与期間中に収縮期血圧を測定した。高血圧による腎症が知られているため、腎臓中の内皮型NOS(eNOS)やカベオリン-1のタンパク質の発現をウェスタンブロット法により調べた。24時間尿中のNOの代謝物(NOx)も測定した。その結果、 ABEを投与したSHR群は、非投与群に比べて有意な降圧が認められた。尿中NOx量はSHR+0%群に比べて、 SHR+ABE群で増加がみられ、体内NO量の増加が示唆された。 eNOSタンパクの発現量は、 WKY+0%群に比べSHR+0%群で有意に高かったが、SHR+0%群に比べてSHR+0.9%群の発現量は低かった。カベオリン-1の発現はSHR+0%群に比べてSHR+0.9%群の発現量は増加し、 WKY+0%群の発現量へ回復していた。これらのことからABEは、少なくとも、eNOSやカベオリン-1のタンパクの発現調節を介した降圧作用を有することが示唆された。以上の成果の一部を第60回目本栄養・食糧学会大会や目本家政学会第58回大会等にて発表した。
すべて 2006
すべて 雑誌論文 (3件)
International Proceedings from XIII Congress of the Society for Free Radical Research international, Medimond, Bologna, Italy
ページ: 313-317
Clinical and Experimental Hypertension 28
ページ: 601
Basic & Clinical Pharmacology & Toxicology 99
ページ: 353-357