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1.チューインガム法による全唾液分泌能力と咀嚼能力の同時測定により、咀嚼能力に及ぼす唾液分泌能力の影響を検討した。その結果、唾液分泌能力と咀嚼能力の間には正の相関が認められ、唾液分泌能力の低いほど、咀嚼能力が低く、唾液分泌能力が高いものほど、咀嚼能力が高いことが明らかとなった。
2.Chew-and-spit法の改善法を用い、食品咀嚼における全唾液分泌速度、一口咀嚼回数、一口咀嚼時間、咀嚼速度、嚥下時食塊水分%を測定し、それぞれの関係について検討した。その結果、全唾液分泌能力の高い者ほど、一口咀嚼回数が少なく、咀嚼能率が高く、比較的ゆっくり咀嚼するにもかかわらず、一口咀嚼時間は短く、一方、嚥下時水分%は高く、食べ急いでいるのではなく、余裕をもって咀嚼していることが示唆された。咀嚼速度の速い者は、嚥下時食塊水分%が低く、早のみこみをしていることが示唆された。
3.脂肪含量の異なる試験食品について全唾液分泌速度、一口咀嚼回数、一口咀嚼時間、嚥下時食塊水分%を測定した。その結果、脂肪含量による全唾液分泌速度の差は認められなかった。一方、脂肪含量の高い食品の嚥下時食塊水分%は低く、従って、一口咀嚼回数も少なく、一口咀嚼時間も短かった。脂肪含量の高い食品は咀嚼と唾液分泌の必要性が低く、食べやすい食品であることが示唆された。
日常の食生活において、全唾液分泌能力の低いものの適応行動として、食べやすい脂肪含量の高い食品の摂取、しいては過食による肥満の発症の可能性が示唆された。
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