研究課題
基盤研究(C)
食材の加熱に関する一連の実験研究において、これまでに水分量の異なる食材モデル系および各種実用食材を対象に種々の加熱実験を行い、食材加熱面から内部一次元方向xの位置の温度φ(t)と加熱時間tとの関係が,指数式1-exp[-t/τ(x)]で表されること、その式に現れる遅延時間すなわち時間定数τ(x)と試料加熱面の面積Sとの比が、各試料の熱拡散率αとベキ指数の関係[S/τ(x)=k・α^n]にあることを明らかにした。引き続き平成17-18年度の研究助成テーマでは乳化系(水系と脂質系の混在系]を加熱食品モデルにとりあげ、その熱拡散率に及ぼす成分的要因を、乳化の型(O/WまたはW/O)を含めて熱移動現象を追跡し定式化を試みたものである。初年度(平成17年度)は卵黄を乳化剤として分散油相体積分率(Φ)を0.3〜0.8まで変化させたマヨネーズ様の水中油滴型(O/W)乳化系試料を調製し、分散油滴径の大きさとその分布状況が系の伝熱機構に如何に影響するかを検討した。その結果、油相体積分率が小(すなわち水の割合が大)の試料になるほど、みかけの熱拡散率が大となり、試料加熱時の内部温度上昇曲線から算出した時間定数τ(x)の逆数との間に両対数グラフ上で正の相関があることを報告した。この結果を受けて、平成18年度は卵黄に代わる乳化剤として、親水性ならびに疎水性の食品用乳化剤を選択し、同様に分散相体積分率(油または水)を0.3〜0.8に変えたO/W型乳化系およびW/O型乳化モデル系を調製し、昨年度と同様な加熱実験、熱物性値の測定・算出、粘度、分散相粒子の顕微鏡観察と画像解析を行った。その結果、乳化の型が異なっても(すなわち分散相が油や水に関らず)、系内の熱移動を支配しているのは試料の水の量と試料固有の熱拡散率であり、系中の水の割合が多い程みかけの熱拡散率が大となり、内部温度の上昇速度が増す(すなわち 1/τ(x)が大)ことが確認された。またW/O型乳化試料は、O/W型のそれと比較して、試料調製時の撹搾速度や加熱により不安定であること、みかけ粘度やCassonの降伏値も低いこと、分散相である水滴粒子径の分布範囲が広く最多頻出径が3μm(O/W型では1.5μm)と粒径が大であることが明らかとなった。単純な水・油の系に、分離を抑制するために加えたこんにゃくマンナン粉末は熱伝達方式が伝導伝熱を維持する役目を担っていたが、結果として試料全位置での内部熱移動が抑制された。すなわち、マンナンゲルが水を捕捉し熱の移動に関る自由水が少なくなるものと推測された。
すべて 2007 2006 2005
すべて 雑誌論文 (31件) 図書 (5件)
日本調理科学会誌 40・3(印刷中)
日本調理科学会誌 40・4(印刷中)
農業機械学会誌 69・2(印刷中)
J.Cookery Sci. Jpn, Japan Volume 40,No.3
J.Japanese of Agricultural Machinery Volume 69,No.2
J.Cookery Sci.Jpn, Japan Volume 40,No.4
東京家政大学研究紀要 46
ページ: 13-18
日本家政学会誌 57・4
ページ: 229-237
日本食生活学会誌 16・4
ページ: 320-326
日本家政学会誌 57・7
ページ: 453-460
ページ: 29-35
ページ: 469-475
International Journal of Molecular Medicine 18
ページ: 107-111
日本食生活学会誌 17・4
ページ: 198-203
日本食品科学工学会誌 53・5
ページ: 261-267
J.Home Econ., Jpn. Volume 54,No.8
ページ: 623-631
The Bulletin of Tokyo Kasei University No.46(2)
Journal for the Integrated Study of Dietary Habits Volume 16
J.Home Econ., Jpn. Volume 57,No.7.
J.Home Econ., Jpn. Volume 57,No.7
International Journal of Molecular Medicine Volume 18
ページ: 106-111
J.Integr.Stud.Diet.Habits Volume 17,No.3
Nippon Shokuhin Kagaku Kaishi Volume 53,No.5
Nihon Reoroji Gakkaishi (J. Soc. Rheol. Japan) 33・2
ページ: 93-100
International Journal of Molecular Medicine 16
ページ: 427-430
日本食生活学会誌 15・4
ページ: 247-252
日本調理科学会誌 38・6
ページ: 491-496
Nihon Reoroji Gakkaishi Volume 33,No.2
International Journal of Molecular Medicine Volume 16
Journal for the Integrated Study of Dietary Habits Volume 15
J.Cookery Sci.Jpn, Japan Volume 38 No.6