研究概要 |
食物摂取頻度調査法(Food Frequency Questionnaire:FFQ)は個人の長期の日常の食物摂取量を推定することができるため、食事と慢性疾患との関連等の疫学研究に有用である。わが国では過去20年間に数種のFFQが開発され、コホート研究に試行され始めているが、欧米に準ずる高い妥当性はこれまで確認されていない。食物摂取には地域性もあることから、我々は2003年に国立長寿医療センター研究所疫学部にて「地域にあった料理165品目の半定量食物摂取頻度調査票」を開発した。本FFQは短期検討ではあるが、既存のFFQ(各種栄養素等の相関係数の中央値0.43)を上回る、欧米(0.60)に近い高い妥当性(0.54)を有し、摂取量の絶対値においてもこれまでにない近似値を示した。 今回、長期の妥当性・再現性の有無を確認するために、40歳以上の地域住民を対象として、秤量食事記録調査(DR)を各季節3日間ずつ年4回(12DR)と、FFQは3ヶ月ごとに計5回の調査を実施し、多くの栄養素等項目で長期にFFQの妥当性および再現性を繰り返し検討し、DRの季節変化も検討した。その結果、本FFQの妥当性は欧米の高いレベルまでは得られなかったものの、37の多くの栄養素等で長期に、摂取量の順位はもちろんのこと、他にない絶対値においても、これまでのFFQの中ではもっとも高い妥当性のレベルを有すること(各季の中央値0.45-0.52,1-5回の中央値0.50)が、再現性では計4回の季節変化を含む検討にて、欧米に匹敵する高い再現性(各季0.50-0.63,4回の中央値0.60)が確認された。わが国の食物摂取には季節変化があることも確認された。FFQの高い妥当性・再現性が長期に多くの栄養素等項目で確認されたことから、本FFQがDR調査を補完するツールとして、これからの大規模コホート研究に使用できると思われた。
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