研究概要 |
1.蒸カステラの性状,食味特性と保存性に及ぼす小豆種皮粉添加の影響:小豆種皮粉を食品素材として利用する目的で、小豆種皮粉素材(A粉:無精製,B粉:A粉を超音波併用の蒸留水15分間処理,C粉:A粉を蒸留水の浸漬16時間処理)を蒸カステラ調製に,さらに蒟蒻ゲル置換した製品調製に利用し,各製品の性状,食味特性と保存性に及ぼす影響を研究した。A粉,B粉,C粉は小麦粉の20%まで置換できた。小麦粉の20%を素材Bで置換した蒸カステラは無添加品に比べ,小豆色を帯び,水分含量と比容積は大きく,硬く砕けやすい食感を示したが,香り,味および総合評価で好まれた。保存中における素材Bと蒟蒻ゲル2.2%添加は澱粉の老化と生菌数を抑制した。従って,小豆種皮粉素材と蒟蒻ゲル添加が蒸カステラの品質を高めた。結果は日本食生活学会誌(Vol.17,No.1,p49-52,2006)に報告した。 2.小豆全粒粉新食品素材開発とクッキーへの利用:古(ひね)小豆の全粒粉を食品素材として利用する目的で、全粒粉素材(A:無精製粉,B:Aを超音波併用の蒸留水15分間処理,C ; Aを蒸留水の浸漬16時間処理)の性状評価とその素材の添加がクッキーの品質に与える影響について検討した。全粒粉(素材A)の歩留りは平均85.0%で小麦粉に比べ保水力が3.3倍,吸油力が1.6倍であり,たんぱく質,食物繊維,無機成分含里は小麦粉に比べ多かった。SEMの組織観察では超音波処理した素材Bは無精製の全粒粉に比べて澱粉が糊化されやすい状態を示し照射の精製効果が観察された。素材A, B, Cは小麦粉の20%まで置換できた。小麦粉の20%を素材Bで置換したクッキーは無添加品に比べ,小豆色を帯び,スプレッドファクター,膨化率,吸水率は大きく,軟らかい食感を示し,官能評価では,味および総合評価で好まれた。その上,保存試験でも良好な結果が得られたのでクッキーの品質の改良を認めた。結果は日本食生活学会誌(Vo1.17,No2,p64-72,2006)に報告した。種皮粉・全粒粉素材の人体への影響や効果は昨年に引き続き検討中である。
|