研究概要 |
1.クッキーにおける小豆種皮粉と小豆渋汁の酸化抑制効果:小豆種皮粉と小豆渋汁を食品素材として活用する目的で、小豆素材(A:種皮粉,B-a:1回目抽出渋汁,B-b:2回目抽出渋汁)の酸化抑制効果評価とその素材の添加がクッキーの品質に与える影響を検討した。97日間保存試験では素材A,B添加クッキー油脂の過酸化物価は無添加製品に比べ抑制していた。総ポリフェノール量とラジカル捕捉活性は素材B-aが素材B-bより高く、素材A,BまたはC(AとB)添加クッキーは無添加クッキーに比べ総ポリフェノール量とラジカル捕捉活性が有意に高かった。SEMの組織観察では、素材A又はC添加クッキーの組織は無添加クッキーに比べ、表面上に種皮粉の小片が存在し、表面構造の相違が観察された。2.超音波照射が小豆渋汁の栄養成分,抗酸化活性,色調及び嗜好に及ぼす影響:小豆の製餡加工時に生じる廃液の渋汁を食品素材として利用拡大に資する目的で,超音波照射により精製した渋汁素材の成分,抗酸化性,色調及び嗜好性を比較検討した。非照射の素材Aに比べ,照射5,10,15及び20分間精製した素材B-0,1,2,3(B区)は,一般成分,無機成分,遊離アミノ酸含量について有意な差はなかった。総ポリフェノール含量とラジカル捕捉活性でも,素材B区は素材Aに比べ有意差はなく,高い抗酸化効果を示した。渋汁の好適な精製条件は40℃で照射10分間処理が有効で,この素材B-1は素材Aに比べ小豆色が濃く,臭気は減少し,食味特性が向上した。3.小豆渋汁および蒟蒻ゾルの添加が水羊羹の品質に及ぼす影響:小豆渋汁を食品素材として利用する目的で,素材A(渋汁)と素材B(超音波10分間照射渋汁)および蒟蒻ゾルの添加が水羊羹の品質に与える影響を検討した。試料B-1(素材B添加製品)は,試料S-1(基本)や試料A-1(素材A添加製品)に比較して小豆色を帯び、官能評価では臭気が著しく減少し、総合的に好まれた。試料A-1と試料B-1は試料S-1に比較してDPPHラジカル捕捉活性と総ポリフェノール量が有意に高かった。更に、試料B-1に蒟蒻ゾル2.4%添加することによりテクスチャーが硬くなり良好で,著しく離漿が少なく,クライオSEMの組織観察では,寒天の網目構造に蒟蒻ゾルが浸入状態で,試料B-1と相違が観察された。
|