研究概要 |
活性酸素よる酸化ストレス予防において食材の選択は重要な意味もち,発芽玄米のように種子の発芽初期の食品化でGABAなど機能性成分の増加の報告がある.脂質含有量の高い種実類の利用拡大ならびに種子類の発芽初期に期待される各種酵素活性の増加や活性酸素消去成分(リグナンフェノール類)の生成,に関して発芽条件の検討を,高リグナン種の「ごまぞう」と従来種の「金ゴマ」を用いて実験した. 1)初期発芽体を用いた搾油の基礎実験として,発芽処理に伴う機能性変化を高リグナン品種「ごまぞう」を用いた.高リグナン品種「ごまぞう」および対照「関東1号」を37±0.2℃の恒温槽内の暗所で0,1,2,3,4日間発芽させた.「ごまぞう」は発芽初期の1日目まではDPPHラジカル捕捉活性が低下するが,2日目以降著しく活性が増加し,4日後には「関東1号」を上回った.「ごまぞう」は発芽によりセサミン,セサモリンが減少するが,その残量は他種のゴマ発芽体よりも高く,セサミン,セサモリンの生理機能は失われていない.さらに発芽とともに極性部分が増大し,6化合物について単離・複製し,機器分析(LCMS, NMR)した結果,2つのセミノール配糖体,2つのセサミンの一方が開環したケト基配糖体,1つのセサモリンの一方が開環したケト基配糖体と高いSOD様活性を示すカフェ酸配糖体(1μMの活性がTrolox 1mMと同程度)であると同定した. 2)発芽ゴマの生体への抗酸化性を検討するため,高コレステロール食投与ラットに市販の発芽ゴマ食品を10%添加し3週間投与した結果,血清総コレステロール・トリグリセリド,肝総脂質は発芽ごまぞう群が最も低値を示したことから発芽処理により,生成されるラジカル捕捉物質は,生体への抗酸化作用があることが明らかになった.
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