研究概要 |
生体にとって重大な傷害の要因である活性酸素による』酸化巣ストレス予防には,生体内・外を問わず,食生活での食材の選択が重要である.種子の発芽体はもやしや貝割れなどのスプラウトとして利用しているが,初期発芽の食材化は,玄米以外は研究が進んでいない.ゴマには機能性成分としてリグナン類を遊離,結合型(配糖体)として約1%〜1.3%含んでいると推定されているが,発芽時にはこれらリグナン類に変化が起こる可能性が高い. H.17年度では高リグナン種"ごまぞう"の発芽初期において,抗酸化性が高まること,抗酸化性と増加したフェノール性成分の相関をしらべ,NMR等による構造解析の結果,カフェ酸配糖体であることを明らかにした. H.18年度は,"ごまぞう"および"ごまぞう"初期発芽体(30℃,48hr)を高圧(400MPa, 10min)処理し、さらに各試料とも3温度条件(4℃,25℃,37℃)で24hr保温後凍結乾燥したものを試料とした.加圧により、"ごまぞう"はコントロール(未処理・凍結)に比べ、HPLC(280nm検出)の高極性域に3本のシャープなピークが認められ、37℃,24hr保温で"ごまぞう"発芽で1.3倍に増大し、DPPH・捕捉能は"ごまぞう"発芽で有意に高まった.ゴマおよび発芽体は加圧処理により高極性成分やラジカル捕捉能が増大した.発芽と高圧により酵素等活性化され成分変化したと推定され、新しい食材化の可能性が示唆された. H.18年度では、発芽ゴマ投与ラットの血清中リグナンの機能性について検討した.リグナンを摂取した場合、腸内細菌叢によって分解、吸収され血中において哺乳類のホルモンとして知られているエンテロジオール(END)やエンテロラクトン(ENL)が存在することから、高リグナン種の発芽ゴマ投与ラットの血清中ENL、ENDについて検討した.ゴマを投与した血清抽出物中のENL, ENDをクーロケムによって検出を行った結果、金ゴマから抽出した抽出物中には検出されなかったが、ゴマ投与の血清抽出物中から、ENL, ENDが検出され、ゴマ添加により生体内で、ENL, ENDが生成していることが示唆された.
|