報告者は、数年来、野菜や焙焼食品の活性酸素消去能、抗酸化活性、血小板凝集阻害活性、血液流動性改善効果に関して研究を進めてきている。 今年度は、ヘルシンキ条約に則り承諾を得たボランティアに、これまでの研究結果を元に、活性酸素消去活性や血小板凝集阻害活性、血液流動性改善効果を認めた食品の単回摂取・連続摂取による生体への影響を検討していくことを目的として検討を行った。 単回摂取実験としては、活性酸素消去活性の高いピーマンや玉ねぎなどの野菜、レモンやグレープフルーツなどの果物を摂取し、摂食前後における血液ヘモレオロジーや生体内フリーラジカル量の変化を測定した。摂食後の採血は2時間後に行った。採血はヘパリン採血を用いた。 全血通過時間の測定は、得られた新鮮な全血を7μm、長さ30μm、深さ4.5μmの血液フィルターチップを用い、MC-FANで測定した。血小板凝集阻害活性の測定は、全血を遠心分離で多血小板血漿と乏血小板血漿を分離採取し、コラーゲンを血小板凝集試薬として用い、ヘマトレーサーで測定した。フリーラジカルの測定は、採血時の鮮血を1滴測定用キットに落とし、FRASフリーラジカル分析システムで測定した。レモン、ピーマン、タマネギなどに血流改善効果が見られた。 連続摂取実験は、実験開始初日に採血し、実験食の連続摂取実験後に再度採血を行い検討した。採血方法は単回摂取実験と同様、ヘパリン採血とした。採尿は実験開始初日の朝一番尿と実験最終日のそれぞれ全量を採尿し、尿量を計測し、その中の5mlを採取した。全血通過時間、血小板凝集阻害活性、フリーラジカルの測定は、単回摂取実験と同様に行なった。DNA酸化障害の測定は、実験開始初日の朝一番尿と実験最終日のそれぞれ全量を採尿し、8-OHdG測定用キットを用い尿中8-OHdG量をエライザー法で測定した。レモン、ほうれん草などにNA酸化障害修復効果などが認められた。
|