山形県米沢地方で日常的に食されているウコギはチョウセンニンジンと同じ科に属する植物で、高い抗酸化活性があり、ポリフェノール、食物繊維含量が高い。ウコギの機能性を利用した新規の抗糖尿病食品の開発を目的に、ウコギ茶の糖尿病軽減作用の基礎的検討として、有効なウコギ葉抽出液(ウコギ茶)の調製法の確立および血糖低下の作用メカニズムをin vitroおよびin vivoで検討した。 1.ウコギ抽出液(ウコギ茶)の調製法の検討 凍結乾燥したウコギ葉粉末に水を加えて攪拌・抽出し、遠心分離後の上清をウコギ茶とした。調製時のウコギ粉末濃度(0.1、0.5、1.0、1.5、2.0、5.0%)、抽出温度(室温および80℃)、抽出時間(0、15、30分)を検討した結果、最も効果的な抽出条件は抽出濃度2%、抽出温度80℃、抽出時間30分であった。以後の実験には本方法で調製したウコギ茶を用いた。 2.血糖低下作用メカニズムのin vitroでの検討 ウコギ茶による糖質消化酵素阻害実験をデンプン、麦芽糖、ショ糖を基質として行い、アミラーゼ、マルターゼ、スクラーゼの各酵素活性に及ぼすウコギ茶の効果を調べた。その結果、ウコギ茶にはマルターゼ阻害活性があることが認められた。 3.血糖低下作用メカニズムのin vivoでの検討 8週齢Wistar系雄性ラットを2群に分け、ウコギ茶および水を投与し、5分後にデンプン、マルトース、グルコースを負荷し、負荷前および負荷後30、60、90、120分の血糖値を測定し、その値から曲線下面積を算出した。ウコギ茶投与群のデンプン、マルトース負荷後の血糖値曲線下面積は水投与群より有意に低下した。 以上から、ウコギ茶摂取による正常ラットの食後血糖上昇抑制効果が認められ、その作用はマルターゼ活性阻害に起因することが示された。
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