前年度の研究において、糖尿病軽減に最も有効なウコギ茶の調製条件を確立し、さらにウコギ茶の正常ラット食後血糖上昇抑制効果を確認し、その作用が糖質消化酵素(マルターゼ)活性阻害に起因することを明らかにした。 本年度は、自然発症糖尿病マウス(KKAyマウス)を用い、病態の異なる糖尿病マウスにウコギ茶を長期摂取させ、ウコギ茶の糖尿病予防および改善効果を検討した。 1.ウコギ茶の糖尿病予防効果の検討 5週令のKKAy雄性マウスを対照群とウコギ茶群に分け、ウコギ茶群には水の代わりにウコギ茶を飲用させ、CE-2固形飼料で5週間飼育した。1週間毎に体重、血糖値を測定し、実験5週目に血中の糖化ヘモグロビン(HbAlc)値を測定した。その結果、対照群の空腹時血糖値は週令に伴って上昇したが、ウコギ茶群では3週目以降有意に低値を示し、HbAlcもウコギ茶群が有意に低下しており、ウコギ茶の継続的摂取による糖尿病の予防効果が認められた。 2.ウコギ茶の糖尿病改善効果の検討 高血糖と肥満を呈する9週令のKKAy雄性マウスを対照群とウコギ茶群に分け、上記と同条件で4週間飼育し、1週間毎に体重、血糖値、HbAlc値を測定し、実験4週目にグルコース負荷試験およびインスリン負荷試験を行い、解剖時に血中の各脂質分析および各組織脂肪量を測定した。 その結果、ウコギ茶群では空腹時血糖値、総コレステロール値、体重増加量が対照群より有意に低い値を示し、耐糖能にも改善が認められ、ウコギ茶の糖尿病および肥満の改善に効果が示された。
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