研究概要 |
前年度までの研究において、最も有効なウコギ茶の調製条件を確立し、動物実験によりウコギ茶の食後血糖上昇抑制効果、および糖尿病の予防・改善効果を明らかにした。これらの結果を踏まえて本年度はウコギ茶の抗糖尿病食品としての有用性を検討するために、健常人を対象としたウコギ茶の飲用試験を行った。 1.ウコギ茶の食後血糖値上昇抑制効果の検討 41名の女子短大生(平均年齢20.3歳)を被験者として、米飯食(レトルト米飯200g、ふりかけ1.8g)をウコギ茶または水とともに摂取させ、食前および食後30、60,90,120分の血糖値を測定した。実験はクロスオーバーで行い、食後30分の血糖値が平均値より高いグループと低いグループに分けて解析した。その結果、ウコギ茶は健常人の食後の血糖上昇を抑制し、その効果は食後の血糖値の上がりやすい健常人に高いことが示された。 2.ウコギ茶の長期摂取による糖尿病軽減効果の検討 健常成人41名(男性29名、女性12名、平均年齢43.4歳)に、上記の単回摂取試験を行い、食後30分の血糖値が平均値より高い20名(男性15名、女性5名)を被験者として、12週間にわたりウコギ茶300mlを1目3回毎食事に摂取してもらった。摂取前、摂取後4、8、12週間目に採血を行い、血球成分・血清生化学成分30項目について分析した。その結果、血中の中性脂肪の有意な低下およびHDL-コレステロールの有意な上昇が認められ、さらにヘモグロビンAlcおよび尿酸値が低下傾向を示した。これらの結果はウコギ茶の長期摂取による糖尿病軽減作用を示すものであり、ウコギ茶の抗糖尿病食品としての有用性が明らかになった。また肝機能関連酵素類および血球成分には変動が認められず、ウコギ茶長期摂取の安全性も確認された。
|