研究概要 |
1.米タンパク質を飼料としての栄養試験 一般品種由来米タンパク質(RP)とプロラミンを多く含有する春陽由来米タンパク質(SYRP)は,いずれもアルカリ抽出・中和沈殿法で調製された.成熟期ラット(20週齢)を供試動物として,この2種類の米タンパク質,およびカゼイン(C)と大豆タンパク質(SP)を14%レベルで含有するAIN-93M食を2週間自由摂取させた.終体重や飼料摂取量に有意差はみられなかったが,貯蔵脂肪量はSYRP-14食群が有意に低値を示した.一方,脂質代謝の指標である血清TC,LDL,HDLおよびTGについては,米タンパク質にはSPと同様の生理機能があることが明らかになった.さらに,糖尿病モデル動物であるGKラットを用いての飼養試験(AIN-93G食)では,SYRPが窒素代謝に好影響を与える可能性がみられ,再試験を進めている. 2.肝臓および血液を用いての抗酸化活性の測定 栄養試験終了後に,採血および肝臓の摘出を行い,グルタチオンペルオキシダーゼ(GSH-Px),スーパーオキシドジスムターゼ(SOD),およびカタラーゼ活性を測定し検討した.ラットの週齢(成長期or成熟期)によって異なるが,米タンパク質摂取はSPのように肝臓のGSH-Px活性に明らかに影響を及ぼすことが示唆された.しかし,SOD活性では有意差は認められなかった. 3.米タンパク質と他食品タンパク質による免疫調節機能の比較検討 米タンパク質の免疫応答に対する効果を特異抗体産生誘導(抗オボアルブミンIgG)で検討した.米タンパク質を4週間自由摂取させたところ,総IgG量では,3,4週で大豆と米でやや低い傾向がみられたが,抗オボアルブミンIgGは2,3週目に米タンパク質で有意に高値を示した.また,腸管免疫に関与が予想されるIgA抗体の挙動について,血清,脾臓,消化管内容物,糞中排泄物での分布を検討中である. 4.研究成果の発表 2005年9月末に南アフリカ・ダーバンで開催された18th International Congress of Nutritionで,2編を発表した. ・Effect of Rice Protein on Antioxidative Activities in Adult Rats ・Effect of Rice Protein on Cholesterol Metabolism in Rats
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