研究初年度は、頭骨レプリカと消化管プラスティネーションの作製、および脊椎動物の歩行様式がわかるビデオ撮影を行って、各教材を用いた授業案の構想をまとめた。さらに、旭山動物園と協力し、「旭山動物園教育研究会」を立ち上げて教材を普及させるための基礎作りを行った。 1.頭骨レプリカの作製:エゾシカ、ライオン、ニホンザルの頭骨標本を旭川市旭山動物園より借用し、それを基に頭骨レプリカを作製した。これを用いて、食性に応じた臼歯の形と臼歯を有効に使うための顎関節の位置に注目させる授業案を作成した。 2.消化管プラスティネーションの作製:畜産業者からブタの消化管を購入し、プラスティネーションを作製した。胃・小腸・大腸の切片観察と触覚をもとに部位を特製させる授業案と、顕微鏡観察により小腸絨毛の存在を確認させ、栄養吸収表面を広げていることを理解させる授業案を作成した。 3.脊椎動物の歩行様式を示すビデオの撮影:脊椎動物の遊泳および歩行時の背骨の動きがわかるようなビデオを撮影し、コンピュータ上で見ることができるように編集した。すなわち、魚類および海棲哺乳類の遊泳方法(葛西臨海公園および鴨川シーワールド)、有尾両生類の歩行方法(購入したイモリ)、爬虫類(ワニ類)の歩行(上野動物園)、トカゲとカメの歩行およびヨウスコウワニの遊泳方法(札幌円山動物園)、鳥類および陸棲哺乳類の歩行(旭山動物園)をビデオで撮影した。この動画を用いて、脊椎動物の水中から陸上への進化と相互の系統的関係を考えさせる授業案を作成した。 4.教育研究会の立ち上げ:旭山動物園と協力して、学校の教師等を主な会員とする教育研究会を立ち上げ、夏冬の休みに2回のワークショップを開催した。来年度以降、この会において動物園を活用した教育のための教材および授業案を普及させる。
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