研究概要 |
1.ポインター方式による分子模型教材(特許3757283)を用いた自然科学教育への応用 分子模型は,物質分子の立体構造をリアル3Dで体感できる唯一の教材である。しかし,キットが高価なため大学の化学教育ですらその活用は準んでいない。この問題を改善するため,新しく開発したのがポインター方式による分子模型教材(特定領域課題番号17011030参照)である。本教材を活用した新しい自然科学教育の試みを大学医学準備教育で実施し,物質分子の理解増進を図るための研究を以下のとおり実施した。 2.医学準備教育課程における物質化学教育の実践研究 医学部1年次生医学準備教育における物質の科学および生命現象の科学の授業で,生体物質分子の構造の理解増進のため,大型の分子模型を用いた提示型学習プログラムの実践を行った。また,より理解を深めるため各自分子模型を製作体験できるゼミコースを設けた。これにより,従来より格段の理解増進が図られたものと考えている。医学部として,重要な生体分子であるグルコース,アミノ酸や脂肪などに始まり,遺伝子DNA作製まで相当の内容とした。また,タンパク質の構造理解のため,2次構造モデルであるαヘリックス,平行βシートおよび逆平行βシートも課題として取り入れた。この成果を来年度の取組として,ミオグロビンの2次構造モデルの製作を取り入れた学習プログラムの準備を進めている。 3.さらなる物質分子理解増進につながる学習プログラムへの新展開 提示並びに製作体験を同時期連動して行う学習プログラムを立案し実施することで,さらなる効果を上げる工夫を計画する。また,可変型分子模型の開発をとおして,より現実の分子特性を表現した教材を活用し,工学系および教育学系の授業に新たに取り組み,広く自然科学教育への実践を展開する。
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