機能性材料であるTiNi形状記憶合金を用いた2種類のエンジンを使用したエンジンカー、位置エネルギーを利用して2足歩行を行う受動歩行模型を中学生が自作し、機構やエネルギー変換、試行錯誤を学ぶことができる教材として開発し、新素材・新エネルギーの開発などの新しい技術に触れることにより、技術の発達と環境・エネルギー・資源との関係について学習することができ、理科の領域と融合した教材として提示した。 1.形状記憶合金エンジンカー (1)形状記憶合金ワイヤーエンジンカーを公立中学校3校で実践し、年間計画・教材観・授業案・マニュアルなどを作成し教材として提示した。形状記憶合金の素材としての不思議とエンジンの動作原理の不思議が生徒の興味関心を引き出し、本教材の有効性が明らかとなった。また、授業だけに留まらず、学校全体の興味関心事となり、学校公開での展示により家庭・地域にまで広がりを見せ、他の教材にない魅力があることがわかった。 (2)形状記憶合金ばねを用いたオフセットクランク式蒸気熱エンジンカーを開発した。これまでのオフセットクランク式エンジンはお湯の熱エネルギーを用いていたが、お湯から蒸気に変えることにより大きなお湯入れから解放され、世界初のエンジンカーの開発に至った。 2.受動歩行模型 受動歩行模型は駆動エネルギーの少なさからロボットへの応用が研究されている。本研究では、中学生が自作し、機構やエネルギー変換、試行錯誤を学ぶことができる教材として改良・開発した。やじろべえ型、2足前後型、針金を用いた人型などを製作し、ペットボトルを体に用いるなど、生徒の創意工夫の可能性を広げた。 開発した教材は、エネルギー利用技術作品コンテストで中学生が中小企業庁長官賞を、大学生工夫発明コンテストで会長賞、特別賞、奨励賞を受賞した。また、中学校技術・家庭科教員対象のものづくりの本を出版し、全国への普及を行った。
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