研究概要 |
本研究の目的は,学習者の進度に応じて適切な課題を与え,その遂行を支援する機能を持つ知的学習支援システムを構築することである.このため,複数のマイクロワールドにおける学習目標と課題を明確に記述・索引付けする枠組みである「マイクロワールドグラフ」,およびマイクロワールド間の「移行支援機能」の提案を行い,試作システムの実装と予備的実験を通して,その有効性を検証する.マイクロワールドグラフの各ノードにはマイクロワールドにおけるモデル,モデル化仮定(モデルが有効であるための前提(物理的状況,視点,動作領域など))およびモデルを習得するために遂行すべき課題が記述され,各エッジには他のマイクロワールドとの(モデル,モデル化仮定の)差異および移行するために遂行すべき課題が記述されている.このような情報を明記することにより,物理的状況や視点の変更(を伴う課題)によって,どのマイクロワールドへ移行すべきか,また移行しなければどのような予測と観測の差異が生じるかを推論することが可能になるため,課題や説明の自動生成などの「移行支援機能」を実現することができる. 本年度の研究実施計画では,システムの基本的構成要素(マイクロワールドおよび移行支援機能)の実装,および試作教材を用いた基本動作の確認が計画されていたが,予定通り完了した.すなわち,専用高性能計算機(本補助金で購入)上にJavaおよびLisp言語を用いて基本的構成要素を実装し,試作教材(本補助金で雇用した大学院生の補助を得て作成)を用いた試験的運用を行い,正常動作を確認した.なお,各マイクロワールドで用いる市販シミュレータの予定を計画していたが,選定において適切な候補が得られず,自作することとした(そのための開発ツールを本年度補助金で購入(開発作業は次年度)).本年度の成果は,国際会議(3回)およびその他の国内研究会(3回)において発表済みである.
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