研究概要 |
制御対象の変動に対応するための制御手法として適応御理論が考案されている。この適応制御理論ではファジィ理論や神経回路モデル(Neural Network,NN)を用いた方法が提案されている。この研究では川人らによって提案されたNNを用いたフィードバック誤差学習理論を適用した研究を行ってきた。これは神経回路モデル学習のために制御電圧を誤差信号として用い、神経回路モデルに制御対象の逆システムを学習させる前向き制御と従来のフィードバック制御を併用した手法である。非線形を持つ磁気浮上装置や倒立振子の解析には従来の線形理論では解析が難しく、フィードバック誤差学習制御が適していると考えられる。ここではレールと台車の間に摩擦が存在する倒立振子制御にフィードバック誤差学習を適用した。その結果、線形理論を用いた従来の制御方法(Conventional Feedback Controller, CFC)が改善され、フィードバック誤差学習制御の優れた性能を示すことができた。しかしNNの学習が進み誤差が小さくなるが0にならないことや、誤差が最小になったあと振動現象が生じることが判明した。この問題を解決するために、NNの入力層にスケーリングファクタ導入し、かつ学習速度係数や慣性項係数を変えて2段階で学習することを提案し、この振動現象をなくし、制御対象の逆モデルを推定することに成功した。この結果を用いパルス指令に対し、的確な応答をすることが明らかにした。 教材化に関する研究としては「制御教材のためのインタフェース回路の簡単化」という課題に取り組み、USBインタフェースを用いて、センサーの機能を含んだロボットアーム制御を簡単なインタフェース回路で実現した。これは初等中等教育における技術教育に有用であると考える。これらの技術を用いて簡単な制御回路によるON-OFF制御による磁気浮上装置教材を完成しており、論文としてまとめる予定である。
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