研究概要 |
磁気浮上実験において現在用いられている制御手法は、おもに現代制御理論であるが、数式に頼りすぎ現実の物理現象がわかりにくいという欠点をもっている。また、PID制御においても制御回路が複雑になり、これを教育現場に導入するのは困難である。この研究では、磁気浮上装置を簡単で安価に、そして中学校、高等学校の教材として作成しようとする試みをON-OFF制御を用いて行った。ここでは直径8mm、長さ4cmのボルトにホルマル線(直径:0.6mm)を500回巻きして電磁石として使用する。浮上素子としてパチンコ玉(直径:1cm)、鉄球(直径:1.5cm,2cm)を用いた。 制御系は抵抗素子数個と電界効果トランジスタ(2SK3314)を1個用いた簡単な制御回路で構成した。測距センサとして豆電球、フォトトランジスタ(TPS601A)を使用した。制御用電源として、直流定電圧電源(ACアダプターで代用可)と1.5Vの乾電池数個用いた。以上の費用を合計すると数千円程度であり、これは、学校現場においても十分製作可能と考えられる。 この研究で提案したON-OFF制御を用いた磁気浮上制御実験においてこれまで行われた例がなく、斬新なアイデアと考えられる。また、非常に簡単で安価な磁気浮上制御教材として中学校、工業高校のみならず大学においても利用可能であり、技術教育の推進に大きな役割を果たすものと考えられる。
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