10月の時点での追加採択であったため、研究のスタートが遅れ、まだ充分な研究実績をだすまでにはいたっていないが、力学から現代物理学にいたるまで、物理学講義を補うための演示実験用の器具を多数購入することができた。その機材は、後期の全学教育の物理学の授業や学部の専門教育の授業や演習、および高校の出前講義に役立てることができた。また、長崎大学では毎年、サイエンスワールドを企画しているが、そこでの演示実験にも出品することができた。さらに、サイエンスワールドや科学の祭典など、長崎市内で開催される科学イベントに参加するのが困難な離島のこどものために、出前でのミニサイエンスワールドを企画したが、そこでも科研費で購入した回転椅子や地球ゴマなどが大いに役に立った。 本研究の研究課題は、物理の講義に、演示実験とともに、文学を取り入れることであるが、後者については、これまでも「蜘蛛の糸」や「メダカの学校」など、よく知られた小説や童謡を物理学の講義に取り入れた教材開発を行ってきた。それをさらに継続し、今度は新たに「源氏物語」や漢詩の「楓橋夜泊」を取り入れた教材開発を行っている。その成果については本研究の終了時点で改めて報告書を出版する予定であるが、その一部は2006年3月に発行した環境科学部FD報告書のなかに、「ごんべえの種蒔き」として報告している。教育の成果は、なかなか目に見えないものであるが、レポートなどから判断する限り、受講生の講義に対する興味が増したようであり、成果は着実に上がっていると思われる。
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