平成17年度の研究実績については、海外のより質の高い科学コミュニケーションの例を紹介し、日本では何が出来るかの具体的方法論を提示するため、国内外の博物館等のコミュニケーション調査・分析を試みた。特にオランダ、ベルギー、スウェーデン、アメリカ東海岸、アトランタ、香港、マカオの博物館においては、その博物館のあり方を調査した。また、国内では、琵琶湖博物館、新江ノ島水族館、久慈琥珀博物館、群馬県立自然史博物館、相模市立博物館、その他多くの個人博物館や地域活性化の取組みを取材した。また、博物館以外でも都内の科学イベントの試みに貢献するために、視覚的な仕掛けから科学コミュニケーションの促進を考え実行した。科学技術週間のイベントではプラネタリウムのイベントを日本科学未来館と協力し丸ビル1階で行った。子供への科学のときめきを刺激する場としては、科学技術館での青年のための科学の祭典が大掛かりなものであり、多くの名物先生に出会うことができた。また、広報活動に参加でき役目を果たした。滋賀県立琵琶湖博物館では、小学生を対象に昆虫観察と昆虫画の指導を行った。群馬県立自然史博物館とは日本大学芸術学部との共催で『ニッポン・ヴンダーカマー荒俣宏の驚異宝物館』を企画・プロデュースし、大学と県立博物館の大掛かりなコラボレーション企画という画期的な大事業を成し遂げ、学生の力で表現の可能性に挑戦できかなりの成果を挙げた。同じコラボレーション企画では、上智大学におけるユネスコ生命倫理委員会主催『生命倫理の井戸端会議』に於いて、そのブースのデザインを担当。芸術系学生がサイエンスへの理解とその表現に積極性を発揮することを刺激した。その他に、ロレアル賞連続ワークショップや国立近代美術館におけるトークショーなど、サイエンスコミュニケーションを主題にした一般へのひろがりに努力を重ねた。
|