1.「理数長期追跡研究」及び「理数定点調査研究」の合計16年間の元データの作成 各集団のすべての調査を受けた児童・生徒を追跡データとして抽出した。全体データについては、既刊の報告書において問題や質問紙で対象人数が異なっている場合にデータを整理した。 2.反応率表の作成 7種類の調査種目で項目数は合計367種類であった。「背景」(29種類)、「学習」(21種類)、「算数・数学問題」(83種類)、「態度」(66種類)、「理科問題」(83種類)、「読み」(54種類)、「科学観」(31種類)。項目ごとに集団1・2・3、A・B・C・Dの7つの集団別の各学年の反応率一覧を作成し、変化が容易によみとれるようにした。一覧表完成後、グラフの作成を行った。 3.研究成果の発表 算数・数学の変化の様相について、日本数学教育学会論文発表会(広島大学)で論文発表を行い、また、全国数学教育学会(熊本大学、広島大学大学院、奈良中部公民館)、数学教育の会(学習院大学)において口頭発表を行った。 4.報告書の作成 成果を2冊の報告書(2006年、405ページ)、(2007年、450ページ)としてまとめた。主な特徴をあげると、次の通りである。 (1)各学年20題の算数・数学問題の正答率の平均は、世代が違っても、驚くほど変わっていない。 (2)教育課程の改訂の影響が著しい問題とそうでない問題がある。影響が著しい問題は、複素数の計算、立方体の切断等である。 (3)注意深く読まない児童・生徒が増えている。「2つの」という用語が問題文にあると複数の選択肢を選ぶ児童・生徒が急増している。 (4)高校で数学Bを履修している生徒の多くは、過去を振り返ると、小学生の時から得点が高かった。 「学校でよい教育を受けることは大切」「努力すれば成功する」等の学校や社会に対する態度には、数学Bを履修しているか否かで違いはない。 (5)算数・数学の面白さは、小・中・高でいろいろ変わっていく。生徒の態度は変わりやすいことを念頭に、教師は常に授業を工夫することが大切である。
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