e-ラーニングシステムを教師主導型の集合教育(対面教育)に適用し、集合型の長所を最大限に活かしつつ、e-ラーニングの長所を取り入れた新しい授業形態を開発し、教育の質を向上しようという目的のために、集合授業の利点を最大限に活用できる機能を持った即応型e-ラーニングシステムの開発をおこなっている。本年度の成果は以下の通りである。 1.システムの開発 クライアントサーバ型としてシステムを実装し、Web型での資料配信部分は完成している。また、(1)質問、回答、意見などを提示シートに付加する掲示板機能、(2)提示シートに対して教師側でスタイラスを用いて位置を指示したり、書き込みをする機能、(3)受講者が個別に提示シートに対して書き込みをする機能についても完成し、実際に講義で使えるレベルとなっている。 2.講義での使用 後学期(10月から2月)の講義で実際に使用した。電子的教材は管理サーバーに置き、講義は学科の計算機室にて、常設の端末にペンタブレットを付加し、全受講者がペンによる入力ができる環境のもとで実施した。学生の利用状況はログとして記録し、講義後に分析をおこなった。また、適宜使い具合いについてのアンケート調査をした。現時点でのシステムの未完成度に起因する反応の遅さに対する指摘はあったが、全般的に肯定的な意見が得られた。 3.心理実験の実施 開発されたシステムの有用性を細かく調べるために、受講者の活動状況を何種類か定め、その役割のもとでの利用実験と制限のない利用実験をおこない、多くの利用記録が得られた。また、アンケート調査によるデータも得られた。細かい解析とそれに応じたシステム機能の改良については次年度おこなう。 4.中間結果の公表 現時点で得られた結果を情報処理学会「コンピュータと教育」研究会にて発表した。構想の部分と、作成システムの現時点での利用経験の部分とで2件の発表となった。質疑応答と議論により貴重な意見が得ることができた。
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