指導細案のための学習指導案オーサリングシステムの開発と実用化に関する研究に対して、平成18年度は、以下のような研究を行った。 (1)本研究で提案した指導案書式とシステムの妥当性検証、および複数教科での指導案作成可能性検証 (2)教育実習支援ツールとしてのあり方についての検討 まず(1)であるが、昨年度構築されたシステムを利用して、本研究で提案する指導案記述言語で書かれた指導案の書式が妥当であるかの検証を行った。その方向としては、(1-1)専門家や現職教員等の意見を伺う。(1-2)単一教科のみならず、複数の教科に渉って指導案の試作を依頼する。というものである。(1-1)では、指導案書式については特に否定的な意見はなかったが、システムについては様々なご意見を戴くことができ、本研究の成果が認められつつもさらなる取り組みが期待されている内容となった。また(1-2)についても様々な教科・単元で取り組んできたが、これまでに作成上の問題点はみられなかった。併せて、昨年同様、指導案作成法を指導する授業で導入していただき、受講生にアンケートをお願いしたが、ほとんどの受講生から「今後も使いたい」という回答をいただくことができた。 次に(2)であるが、昨年度の研究の中で、本システムを教育実習支援ツールとして考えていくことが妥当であるということになり、これまでに検討を行ってきた。その結果、一つの方向性として、「教員養成系の大学生でも実用性の高い指導案の作成ができるように支援するツール」を目指す必要があることがわかってきた。これを踏まえて、主に(2-1)指導案の方向性を意識させる機能と(2-2)利用者のレベルや状況に応じてシステムを作り分けることについて検討を行った。その結果、(1)同様、専門家や現職教員の意見を伺い、共に一定の評価を得ることができた。 以上をもって、実用的かつ中規模な学習指導案オーサリングシステムに関する研究を行うことができた。
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