I インターネット上で学習者が利用できる日本語遠隔教育システムの運用と改善 (1)「初級文法」「基本語彙」「ひらがな・かたかな」「漢字」が学習可能な日本語遠隔教育用教材を運用(初年度は国内、次年度は海外も)し、システムやインターフェイスの改善を行なった。 (2)研究のため、教材構造の異なる2種類の教材(教師コントロールが強く学習順序や項目を学習者が選べないもの/学習者コントロールが強く学習者が好きに項目を選べるもの)を開発した。 II 学習スタイルチェックシートの開発 (1)学習者特性を明らかにするため学習スタイルを数値化するアンケート項目の開発を行なった。 (2)認知スタイルについては、場独立・場依存のみを対象とすることとした。 III データ収集 (1)実験に協力してくれる学習者の選択 (2)被験者の学習者特性の調査 (3)運用による学習効果の測定 (4)学習履歴の収集 (5)教材に対するアンケート調査(好き嫌い/面白い面白くない/有用かそうでないか) IV データ分析 (1)学習効果について、学習者特性及び教材構造の点から分析を行なった。 (2)教材に対する学習者の反応をアンケート調査の結果から分析した。 明らかになった点 外国語としての日本語は、遠隔教育システムを利用してある程度可能であることが明らかになった。例えば、文法や文型、語彙、漢字、などについては、教室学習でなくても学習者の努力によってかなりの習得が可能であった。また、認知スタイルと学習効果については有意な効果の差は見られなかった。また、学習スタイルと効果についても同様であった。これは、今回は被験者が少なく、すべての被験者が熱心に学習に取り組んだため、あまり効果に差が見られなかったのではないかと思われる。また、初級段階の遠隔教材は、ある程度教師コントロールの強い構造をとった方が、学習効果が高く現れることが明らかになった。今後は中級・上級の場合の調査も必要であると思われる。
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