研究概要 |
平成17年度に開発したeラーニングシステムでは、AHS(Adaptive Hypermedia System)の技法を用いて、学習者の知識レベルを因子とする学習者モデルに基づいて、動的にナビゲーションを適応させることで、各学習者の学習時における知識レベルに適応した教材の配信を行うことに成功していた。平成18、19年度は、大学の論理学の講義の復習用のeラーニングシステムを構築し、学習者の特性のモデル化において、知識レベルのみならず認知スタイルを因子として用いた。認知スタイルへの適応は、各ページの提示内容や提示の順番を認知スタイルに応じて変化させることで行った。 認知スタイルの分類モデルとしては、Richard Ridingらによる認知スタイルラベルの「全体型-分析型特性」を採用し、学習者のそれぞれの認知スタイルに適合すると考えられる教材デザインのAHSを用意し、認知スタイルに適合したAHSを利用した場合と適合しないAHSを利用した場合の学習効果の比較を行った.。 認知スタイルに適合した場合の方が高い学習効果を得られるということを明確に示す結果は得られなかったが、全体型向けの教材デザインには,認知スタイルに関わらず学習効果に一定の有効性が見られ,今後のAHS構築の研究への示唆は得られた。また、システムサイドからの適応の制御とは別に、学習者サイドからの適応機能の選択を可能にした場合の学習効果についても検証を行い、システムサイドからの制御による場合との比較を行い、学習者が選択を行った場合に高い学習効果が見られ、今後の類似システムの構築における重要な示唆を得ることができた。
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