研究課題
基盤研究(C)
本研究の目的は、廉価なインターネットや汎用機器を活用し、海外の大学院生を対象とした、大学院専門教育のための同期型授業を提供する遠隔教育システムを構築し、その有効性を評価することである。具体的な研究内容として、まず能動的な受講を目指す同期型講義のための遠隔教育システムの構築を実施し、システム実装を行うと同時に、システムの有用性を評価するために、中国側の研究協力大学で大学院生を募集し、このシステムを運用した専門科目の授業の実施準備を行った。1.能動的な受講を目指す同期型講義のための遠隔教育システムの構築本システムの設計および実装に当たり、パソコン画面の提示や黒板の板書などの、さまざまの授業スタイルに対応できるようにした。また、能動的な受講を促すと同時に、黒板の文字などを識別させるために、受講生が遠隔から、授業撮影用カメラに対して様々な操作が自由にできるようにした。2.システムの運用および評価・考察実際の授業運用では、黒板の板書を授業撮影用カメラで撮影し、ストリーミングデータとして転送する使い方が全授業時間の90%以上を占めた。これは、数式の展開など、板書を多用する当該科目の性格にもよるが、専門科目の授業では、板書は未だに最も効果的な教授手法の1つであることを裏づけでもある。黒板の文字などを識別させるために、受講生が遠隔から、授業撮影用カメラに対して様々な操作が自由にできるようにしているが、教師の説明を集中して聞くなどの時の操作活動が鈍くなることがわかった。一方、遠隔講義システムによる授業は、普通の対面授業に比べて学生の反応をより意識し、授業のスピードや講義内容をこまめに調整するため、学生の満足度が高いという結果も、学生に対する聞き取り調査から分かった。
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