平成17年の初年度は、蘭学・洋学医書のヨーロッパの原著者・オランダの翻訳者たちの学統を、プロソポグラフィー(集団履歴調査法)的に検討するための基礎的な情報収集を開始し、また従来から蓄積してきたこれらに関する研究成果の一端を公表した。 基礎的な情報収集は、日本国内とオランダ王国で開始した。国内では、岡山大学医学図書館、岡山大学中央図書館、岡山市立図書館、大阪市武田薬品杏雨書屋、岡山県真庭市宮島家旧蔵蘭学書、高梁市仲田家旧蔵蘭学書などの蘭学写本・刊本・オランダ語原著などを調査した。また、旧蔵図書の所在や状態の情報を得るために、日本科学史学会、日本化学史学会などの科学史研究者の集まる学会で、各分野の研究者と面談した、次にオランダ王国にも出向き、蘭学原著を蔵するライデン市国立医学史科学史博物館(ブールハーヴェ博物館)図書室、ライデン大学中央図書館、アムステルダム大学中央図書館、ウトレヒト大学中央図書館、ライデン市国立民俗学博物館、国立自然史博物館、シーボルト博物館、ライデン市公文書館などで調査を実施し、情報を収集した。 また、以前から蓄積してきたこのテーマにかかわる研究を、学会で講演し、裏面に記載したように、学術論文として、雑誌で公表した。雑誌『ミクロスコピア』ではライデン市の蘭学関係博物館、図書館、史跡を2回にわたり詳細に紹介した。『日本医史学雑誌』では『解体新書』の原著『解剖学表』の23の異版を詳細に検討した。韓国日本近代学会では、日本の蘭学と朝鮮の西洋由来の学問である西学について、両者のアイデンデイテイを検討した。同じ点と違う点を示した。
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