研究課題
タクラマカン沙漠南縁のピーシャン、ムジのオアシスの1960年初期のCORONA衛星と40年後のASTER画像を比較して解析した結果、上流では植生の拡大が見られるが、下流では植生域が後退している。特にオアシスの末端部では砂丘からの砂の侵入により、沙漠化の危機に見舞われている。一方、南縁では最大の河川であるカラカシ河とユルンカシ河の扇状地に発達したホータンはピーシャンに比較して、利用可能な水には恵まれている。大きな灌漑池もいくつか建設され、農地の拡大に寄与している。衛星データより得られた40年間の土地被覆の変動の面積を示す。ピーシャンやムジでは小河川とわずかな地下水に依存しているが、その絶対量が少なく、農地の拡大は今後も難しいであろう。このような環境では、下流域の農業の圧迫と土地の荒廃の進捗を進める可能性が高い。新疆政府当局の水資源管理、例えば地域住民への適切な水の配分などが、今後の沙漠化対策の鍵を握っているといえよう。沙漠北縁のオアシスは後背の天山山脈から利用可能な河川水に恵まれており、南縁のそれに較べて一般に面積は大きい。特にアクスは北縁で最大のオアシスである。アクスの近年の人口変動とCORONA衛星やLandsat画像から植生被覆面積を推定した。中国政府は1950年半ばから、他の地域から開拓民を移動して沙漠を開拓した。衛星画像から解析した植生被覆面積の年変化は人口の増加によく対応していることがわかった。また1969年のCORONA衛星の画像と同じ地域の33年後のLandsat画像とのコンポジットから得られたアクスの土地被覆変動を解析した。これによるとアクス河の左岸からタリム河に向かって農地が増加している。また逆に植生域から荒漠地へ進んでいる地域も観測された。
すべて 2006
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Proceedings of The 11th CEReS International Symposium on Remote Sensing, "Maximization of the Use of Satellite Data for Understanding the Earth Environment"
ページ: 91-98