研究課題/領域番号 |
17500697
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研究機関 | 千葉大学 |
研究代表者 |
石山 隆 千葉大学, 環境リモートセンシング研究センター, 助手 (00110289)
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研究分担者 |
建石 隆太郎 千葉大学, 環境リモートセンシング研究センター, 教授 (90114545)
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キーワード | 砂漠化 / タクラマカン砂漠 / オアシス / 土地被覆変動 / 土地利用 / 塩類集積地 / リモートセンシング / 新疆ウイグル |
研究概要 |
中国新疆ウイグルのタクラマカン砂漠を取り巻くオアシス周辺では荒漠化が進行している。新中国成立後の1950年代以降、新疆ウイグル自治区では集団営農体制を基本とした新疆生産建設兵団による大規模な土地および水資源開発が行われた。特に北疆においては、河川流域の森林や草地、広漠地を農地に転用し、経済農産物としての綿花栽培に力をいれた。また水稲、小麦、玉蜀黍などの農作物の一大供給基地としての役割もはたしている。1960年代初頭から灌漑水路の整備に力をいれたが、一方では排水路が未整備のため、地下水位が上昇した。その結果、農地への塩類集積とそれによる農地の放棄が、荒漠化へと移行した。またタリム河には多くの灌漑水路からの塩分濃度の高い排水が流入し、水質の悪化が進んだ。さらに上・中流域に無計画ともいえる多くの貯水池が建設されたため、下流域において断流が起きている。この地域の荒漠化、土地被覆の変動に関する調査のため、タクラマカン砂漠の北縁のアクスオアシスの1960年末から現在までの過去40年間の土地被覆の変動を衛星データから解析した。その結果、次のようなことがわかった。衛星画像から抽出した植生地域は天山山脈からの利用可能な水資源により、アクス市からタリム河方向に、農地の拡大として増加している。特にアクス県では屯田兵および中国国内からの移民の導入と共に農地面積も拡大した。衛星画像から農地を分類した結果、綿花栽培地が全農地の70%を占めていることがわかった。一方、農地への不適切な灌漑により地表面に塩類が集積し、大規模な土地の荒廃が進行した。特にアクスからアラルにかけての灌漑水路の周辺、およびタリム河までの下流域では、大規模な塩類集積地が分布していることが衛星データの解析結果からわかった。
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