平成18年度には、前年度からの防災祈願行事にかんする現地調査を継続したほか、データベース構築と、地理情報システムでの分析を行った。 現地調査は台風や局地風などの強風災害の顕著な地域において実施し、その影響が認められる資料を収集した。また防災祈願行事や霊場・寺院などのデータベースの作成を重点的に実施した上で、それらを地理情報システムとして構築し、統計解析や空間解析などを行なって歴史時代の気候災害記録に含まれる意味の解析を進めた。また気候災害にかかわる神社などにおける祭祀や民間の巡拝行事などについて、広域における分布と地域間での差異の特色を明らかにし、またそれらの歴史時代を通しての変容から、気候変動が人々や社会におよぼした影響についても分析を進めた。 上記のように今年度における成果は、より広範な内容をもつ「気候環境基盤GIS」と、それにもとづく歴史時代の気候の実態とその影響解明の研究の一部をなすものである。同システムは次年度において公開しネットワークシステムを介して利用できるよう、検討を進めている。また今年度における成果は日本地理学会、日本気象学会などで発表したほか、後述のように論文として報告した。
|