研究概要 |
都市表面形状を構成する建物の実態を調査した.対象とした都市は,これまでヒートアイランド研究の実績のある長野県小布施町とした.この都市内外において地表面パラメータの分布について,建物の分布,建物の高さなどの現地調査を行った.その基礎資料に基づいて,地表面パラメータとして建蔽率,容積率,天空率,南北方向および東西方向のラフネスパラメータを選んだ.ラフネスパラメータについてはlettau(1969), Raupach(1994)そしてMacdonald et al.(1998)の3つの方法を用いて算出し比較した.調査結果によると,いずれの地表面パラメータも都市が高く都市を中心とする同心円状の等値線が得られた.また,これまで長野で推定されたラフネスパラメータの値と3つの方法による結果を比べたところ,Macdonaldの方法による値が不自然でなかった.そしてMacdonaldの方法によるラフネスパラメータを含む地表面パラメータと小布施町における晴天静夜の24事例から得られた気温偏差との相関を見たところ,いずれのパラメータも0.8程度の高い相関が見られた.ただし,今回の実測データは小中の都市のものであるので,大都市のヒートアイランドに適用できるのかは今後の課題である.また,本年度は研究の総まとめの年度を迎え,研究の成果について検討し,英文でまとめられたものを学会誌等に複数投稿した.一部はこの3月に掲載にこぎつけた.なにぶん野外観測研究は,データの取得に時間がかかるので,今後得られた結果の公表に努力するつもりである.
|