研究課題
基盤研究(C)
本研究の目的は、富士山の樹木限界における植物群落の動態とそれに及ぼす気候・地形的諸営力を解明し、中長期的環境変動との係わりを探ろうというところにある。そのために北西斜面を中心に群落学的手法に基づいた詳細な調査を行い、群落構造解析や樹齢解析からこれまで受けてきた撹乱の実態を明らかにし、あわせて日射、気温、地温、土壌水分などの無機的環境条件の継続的な行ってきた。その結果、北西斜面における樹木限界は定着してから100年以上を経過し、第一次遷移としては平衡的な状態となっていると考えられた。定着の拠りどころとなったのは微細な環境条件、とりわけ土壌水分条件を規定する当該斜面発達する階段状微地形条件であり、階段急斜面の安定性と豊富な土壌水分ぶ森林高木種のカラマツの定着を促した。このような微地形は風衝斜面に特有で、消滅しかかっているところが多いが、寒冷期に由来する周氷河性の地形であると思われる。また、北西斜面ではカラマツを主体とする低木林の発達が著しいが、その背景もこのような斜面特性に係わる。カラマツ低木林は標高とともにその群落高を変化させるが、同一標高帯でサイズと樹齢の関係を検討すると、ある一定の樹齢(100〜200年)に達すると樹高が減じるという傾向が明らかになった。これは通道阻害を引き起こすエンボリズムが一定の樹齢になると顕在化するものと思われる。いずれにせよ、風衝斜面ゆえの水循環の制限が、低木化を維持する重要な機構として機能していると判断される。環境問題が標榜される現在、環境変動のモニターとして樹木限界の植物群落を捉え、継続的な環境観測もあわせて調査・研究を続行させることがますます重要性を増す。
すべて 2008 2007 2006 2005
すべて 雑誌論文 (20件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (20件)
気候影響・利用研究会会報 (印刷中)
長野県植物研究会誌 40
ページ: 207-213
Newsletter, Japanese Study Group for Climate Impact an application (in print)
Bull. Bot. Soc. Nagano 40
Chiri 53-4
ページ: 86-93
めぐろシティカレッジ叢書7世界の砂漠-その自然・文化・人間
ページ: 159-181
Geogr.Repts.Tokyo Metropol.Univ 42
ページ: 1-6
Desert in the World, Series of Meguro City College 7
Geographical Reports of Tokyo Metropolitan University 42
地域を調べ地域に学ぶ
ページ: 254-263
めぐろシティカレッジ叢書6森を知り森に学ぶ-森と親しむために
ページ: 54-64
ページ: 65-72
自然環境の保全と適正利用・管理を抱う人材育成のための調査
ページ: 35-49
Realizing Forest and Learning from Forest-to enjoy life in forest, Series of Meguro City College 6
Research the Region Learn-aim for sustainable regional society
第4回富士学会シンポジウム報告書
ページ: 66-75
日本の地誌1日本総論I(自然編)
ページ: 196-205
Reports of the forth Symposium of Japan Society of Fujiology
Japanese Topography1, General Remarks of Japan 1