研究概要 |
2006年7月までに改良型ストレインプローブの基本的な仕様を決定することができた.すなわち,従来のYamada and Kurashige型ストレインプローブの場合,大型ゲージ4個のブリッジ回路で土壌クリープを検出することにしていたため,おおむね10cm間での平均的な土壌変位しか捕らえることができなかった.しかし,現実の土壌ではより局所的な土壌変位が生じているため,検出する間隔を数cm間隔にする必要がある.そこで,長さ2cm程度のゲージをプローブ表裏に貼り付け,この1組で変位を検出する「2ゲージ法」を採用し,かつプリント基板回線を利用することでプローブ片面に10枚以上(すなわち,1本のプローブで10組以上)のゲージを配置することにした. この仕様で試作品を作成したところ,多層プリント基板を使用するとプローブがたわんだときにプリント基板の剥離が生じ,土壌変位を検出できなくなることが判明した.そこで,1層プリント基板を用いることとし,基板のコーテイング方法にも改良を加えた. 第1号の改良型ストレインゲージが完成したのは2006年1月上旬だった.早速キャリブレーションを行ったところ,数cm間隔の変位を良好に検出できることがわかった.そこで,従来型との比較を行うと共に,各種変形に対する感度測定に供せるようにした. 計画では,2006年3月には奈良県明日香村の山地に設置する予定だった.設置箇所の選定は完了したが,プローブ完成が予定より2ヶ月程度遅れたため,設置には至らなかった.しかし,2006年度のはじめには設置できる見込みである.
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