研究概要 |
プリント基板配線を用いた改良型ストレインプローブによる野外での実測に成功した.改良型ストレインプローブを奈良県明日香村の丘陵に設置したが,問題なく機能し,2年間にわたる実測データを得ることができた.特に,事前の調査でせん断変形が生じている可能性の強い層準に改良型ストレインプローブを設置した結果,このせん断面より下位が上位よりも下方変位の大きい特殊な動きとしていることが判明した.このような挙動は,改良型プローブを使用してはじめて知ることができたものである.この結果は,2008年秋の日本地形学連合2008年度秋季大会で発表した.また,改良型ストレインプローブの構造や精度等についてまとめた論文を作成し,2008年10月にTransactions Japanese Geomorphological Union誌(国際地形学会公認4雑誌のひとつ)に英文論文として掲載された. これまでの研究で,ストレインプローブの中心材として使用するバネ鋼の弾性が精度に影響することが判明したので,弾性定数の異なるプローブを2008年2月に明日香村丘陵に設置し,この観測データを蓄積することができた.また,実際の士壌の動きと土壌水分量との関係や土壌保水性との関係についての調査も行うことができた. 以上の成果について,当初は2009年3月に開催予定の国際会議で成果発表する予定だった.しかしこの会議が2009年7月に開催されることになったので(第7回国際地形学会議,オーストラリア・メルボルン市),現在はここで成果発表すべく準備を進めている.
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