研究概要 |
平成18年度は,カムチャツカ半島やアフリカ・ケニアなどいくつかの調査未了地域における火山地形分類図の作成,これまでに1000枚以上作成していた手書きの火山地形分類図を,CD-R,DVD-Rなどのパソコンメディアを用いて,公表可能な形態に作り上げるという2つの目標達成に向けて作業を行った.カムチャツカ半島の火山の地形発達と分類に関する作業は,20万分の1地形図と火山写真集を用いて行った.20万分の1地形図は等高線の精度がよく,かなりの火山の地形分類が可能であった.この結果に基づき200を超える火山のタイプを現在整理中であるが,これまでにわかった特徴について列挙する.(1)カムチャツカ半島南部には半島の伸長方向に沿って平行に2-3列の火山帯が存在 (2)氷蝕されていない若い火山が多く存在 (3)成層火山・カルデラ火山に加え,プレート沈み込み帯には珍しい楯状火山・熔岩原が存在 (4)半島伸長方向に平行する山脈・盆地列の後者に火山が多く噴出する (5)楯状火山・熔岩原には正断層が発達することが多い.エチオピアからタンザニアまで南北にのびるアフリカ大陸東部地溝帯の中部,ケニア周辺に分布するMenenngai, Suswa, Melu, Elgon, Kilirnanjaroなどの火山地形分類図を作成,火山の分布・地形の特性を明らかにし,火山の分類などについて考察したが,この地域については地形図など資料が完全に蒐集できず,未知の部分が残っており,今後さらに調査を継続する必要がある.火山地形分類図のパソコンメディアを用いた公表に関する作業については,購入したA_0スキャナーの故障,画像処理作業にたけた学生の確保などに難航したが,平成18年度後半、作業工程に目途がつき,完成間近の半製品がニカラグアの「Malpaisillo」など10図幅を超えた.
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